2017年6月4日日曜日

ファーガソンTE-20(系)実車の写真。後編

前編に続き、今回はファーガソンTEAのディテール写真を

実は海外写真で細部を見ているとイロイロ疑問が湧いて頭が混乱してきました。そこで曖昧な事は後回しにして「エレールのTE-20」と「実物のTEA」を比べる形で書いてみます。

なお、私はエレールのキットは「TE-20」ではなく「TEA-20」なのでは?と思い始めています。

キットは、例えばパッケージの実車写真と比べてエンジンのディテールが違っているのですが、日本にあるTEAの実車(つまり末期モデル)とは同じなのです。これはTE系の初期型でエンジンが異なるTE-20のキットとしては実に不自然な事です。

前回書いたようにTEとTEAはエンジンの変更が胆なので、以下はキットを通してその違いを見る筈だったのですが・・・逆にキットと違いがないという結果となりました。
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TEAのエンジン右側、補器類のレイアウトはエレールのキットと同じです。

エレールと比べると補器類に少々ディテールの違いは有りますが、ディテールアップの範疇というか無視して構わないレベルかと思います。

この下出し排気管はオリジナルではない可能性があります。

エンジン左側。こっちも補器類のレイアウトはキットと同様で、形や大きさが雰囲気レベルで違うかなぁという感じ。

製造期間が長く、電装系なんかは仕様変更される事のある部分ですし、適当に補修交換されたりもする部品ですが、「日本が舞台のジオラマ」とか「日本仕様」を謳う場合は(製造末期型になるという意味で)ちょっと気になるところ。

真横を上から。模型の資料的にはこういう写真がバランスが分かって良かったりします。

工具箱やコイルの位置はともかく、オイル給油口やデスビといった位置を替えられない部分のレイアウトもエレールと一緒です。

で、ここがTE-20と思われる写真と比べると明らかに違う部分なのですよ・・・

横にプラグ穴のあるエンジンなのでコードの取り回しがよく見えます。

 このフェンダー裏とかエレールのキットはシャープでクッキリ気持ち良い所。

キットのボルト類はミニスケールのリベットみたいな繊細さでスケールモデル的に気持ち良いのですが、実物は遠慮なくゴツいです。

模型写真を見たとき胴体が太いなぁと思ったけれど、なかなか実車を上から見る機会は無いので何とも言えませんでした。

こうしてみると確かに太い!

ファーガソンの命ともいえるファーガソン・システム。

キットも凄く出来が良いのですが、プラの限界があるので実物の薄さ細さには敵わないですね。

この個体ではデフケース下の牽引フック部分に、更に基部を追加した上で長いドローバーを付けています。これは格好いいから真似してみたいです。

同上、ターンバックルは何なのか良く分かりませんが一般的ではありません。

ぶら下がるチェーンはお約束なディテールなので追加したいところ。

キットではキャップ付き状態のPTOですが、このスプラインシャフトの再現は1/24じゃ無理ですね。

で、こちらはプレーンな状態のファーガソン油圧3点ヒッチ。

キットではオプション部品扱いの牽引フックが付き、PTOにキャップが付いたキットと同じ状態です。

この車体はタイヤがフェンダーから離れていてワイド化されている事が分かります。

話は変わって、アニメに出てきたトラクター

「さばげぶっ!」9話、オーストラリアの婆さんが乗るトラクターなのですが、グリルが水平なのを除けば見事にファーガソンTE-20系のフォルムでした!

ミニミ軽機関銃を車載化してて格好いいです。どこかに1/24のMINIMIは無いものか(笑)
ファーガソンTEA/TEF の断面図
発売元:東急自動車
輸入元:三菱商事 のカタログから

(歪みがあるので図面価値はないです)
で、前回ちらっと触れた始祖のフォード9N。

当然エンジンはフォード製で、フォード車の伝統的なプラグ穴が上にあるSV4気筒です(V8の片バンクをベースにした2.0Lだとか)

それ以外はファーガソンと基本的に同じトラクターなのだと分かりますね。


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エレールによるキット化がアナウンスされた当初、私は「新金型のキットは有り得ない事でありエアフィックスの伝説的キットの再販なのだろう」と思いました。

ところがビックリ、実際はその有り得ない筈の新金型で登場してきました。キットが出てしまうと存在して当たり前のように思いがちですが、それほど画期的キットだという認識は忘れずにいたいものです。

ただ、私としては入手しづらいエアフィックスの歴史的なキットが復刻されたらそれも大歓迎だったのですけどね(笑)

※エアフィックス社が1949年にファーガソンから依頼を受けて当時新素材の酢酸セルロース製の完成模型を納入し、これを後に組み立てキットとして発売した物が老舗プラモメーカー、エアフィックスの始まりとなったのです。

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